【Jリーグ】苦境に立つ浦和と広島の共通点!過去5年の明暗、同時に迎えた限界?

先日、今期『Jリーグ』の前半戦を終えて、降格圏内に沈む『サンフレッチェ広島』(以下、広島)の森保監督が解任(辞任)されることとなった。

近年、広島の強さを支えた名監督の電撃的な解任は、驚きを持って伝えられた。

2012年、その森保監督が引き継いだチームは、それまで「ミハイロ ペトロヴィッチ」という監督が率いていた。そう、現在『浦和レッズ』(以下、浦和)を率いている監督だ!

だが、リーグ戦も半分が終わり、今シーズンの折り返しとなるJリーグで、この2チームが共に苦しんでいる・・・

Jの2強時代を作ったぺトロヴィッチの戦術

2012年に、ペトロヴィッチ監督からチームを引き継いだ森保監督は、その年にJリーグ優勝。翌年の2013年にも優勝し連覇を果たした。さらに、2ステージ制となった2015年には2ndステージ優勝、年間勝ち点でも1位となり、その後のチャンピオンシップ(CS)も制し、3度目のリーグ制覇を成し遂げる。

J2降格も経験した広島を「タイトルを取れる」チームにしたのは、間違いなく森保監督の手腕だろう。

だが、そのチームのベースを作ったのは、前任のペトロヴィッチ監督だと言われている。

広島時代のペトロヴィッチ監督は、J2への降格を経験するも1年で昇格させ、その後、J1でも上位に食い込むまでのチームに育てたという評価がされていた。

そこへ、2006年のJリーグ優勝、2007年のACL優勝以降、低迷(迷走)していた浦和から白羽の矢が立ち、チームの立て直しを任されることに。

迷走する浦和の救世主?広島に待望のレジェンド!

広島がペトロヴィッチ監督と契約の更新をしなかったのは、クラブの経営難が理由とも言われているが、後任に、広島のレジェンドでもあり、ペトロヴィッチ監督の元でコーチ経験のある『森保一』になるのは、理由はどうあれ、既定路線と言うか、チームにとっては理想的な形であった。

一方、浦和というと、2007年に日本勢初のACL優勝、クラブワールドカップでは3位という快挙もあったが、その年のJリーグでは、終盤の残り3試合で1勝すれば良いという、優勝をほぼ手中に収めていた状態から急ブレーキが掛かり、鹿島に大逆転で優勝をさらわれてしまった。

それでも好成績を収めたチームに危機感は薄く、翌年の2008年には、ドイツから戻った高原など大物も獲得するも、リーグ開幕2連敗。

2期目を託され、ある意味信頼の厚かった『オジェック』監督はあっさり解任、ACL制覇を機に、常勝チームになることを期待されたチームはあっけなく崩れ去ってしまう。

そこからの浦和は迷走を極め「小難しいドイツ人監督」「指導者としての経験も浅い外国人OB」など、監督選びに苦慮し、立て直すどころか混乱を引き起こすばかりだった。

そこへやってきたのが「ミハイロ ペトロヴィッチ」監督。

人とボールが動く、いわゆるパス回しで相手を崩し、試合を支配する攻撃的なスタイルを目指すクラブの思惑と合致した、ある程度、国内で評価の定まった監督がフリーになるというのはチャンスだった。

ペトロヴィッチも浦和の監督を望んでいたこともあり相思相愛でもあった。ようやく浦和にとっては腰を据えてチーム作りが出来る体制が整ったというわけだ。

結果を出す広島、逃す浦和

ペトロヴィッチ体制になった浦和レッズが、まずしたことは、監督の戦術を理解する選手の確保。

この監督の特徴として、機能するまでリスクが伴うという欠点がある。

現に、広島では2006年の途中で就任し、その年はなんとか乗り切ったが、翌年の2007年にはJ2に降格してしまった。

サポーターの目が厳しい浦和では、もうこれ以上の時間のロスは許されず、早急な立て直しも要求される為、すでに理解している教え子を連れてくることが、何よりの近道となる。

そこで資金に余裕のある浦和の力を見せつけ、中盤の要、柏木選手、広島から一時ドイツへ渡っていた槙野選手、選手、森保監督の元、優勝を経験した森脇選手、キーパーの西川選手と、毎年のようにペトロヴィッチ監督の息の掛かった選手を獲得していった。

ただ、これには広島などから「ズルい」とか、引き抜きに嫌悪感を抱くサポーターもいたのは確かだ。

しかし実際には、すでに海外へ出ていた選手もいたので、直接引き抜いた主力のフィールドプレーヤーは柏木、森脇に2選手。

キーパーに関しては、代表レベルの西川選手を獲得したかったのは、浦和だけではなかったはずだ。

そもそも、国内でライバルとなるチームから、主力を引き抜きぬくというのは、どこのリーグでも良くあること。より条件の良いチームでのプレーを望むのは選手として当然だろう。

ただ、それで勝てるかと言ったら・・・また別の話。

そこから、色々と条件で不利と見られた広島の方が結果を残していく。

広島と浦和の明暗

それぞれ監督が替わってから、去年までで5年が経った。ちょうど区切りの良い評価ができる期間が過ぎたところで結果を見てみると明暗が分かれる。

広島は、森保体制となり即連覇!5年で3度のリーグ優勝。

浦和はその間、ペトロヴィッチ体制で強さを取り戻すも、悲願のリーグ制覇は成し遂げられず、唯一のタイトルはルヴァンカップ(旧ナビスコカップ)1つのみ。

  • ペトロヴィッチのベースを引き継いで、森保監督で昇華させた広島。
  • 新たにペトロヴィッチのベースを築くものの、リーグ優勝が出来なかった浦和。

共通点の多いこの2チームの過去5年を見れば、どちらが成功しているかは明白だろう。

肝心のタイトルが取れない?

Jリーグ全体で見た場合、浦和の方が目立つし、常に優勝争いに絡んでいることから、一般的には「強い」と思われているだろう。

確かに、ここ数年で獲得した勝ち点を見れば「安定感は抜群」トータルで見れば強いチームであることは間違いない。

しかし、実はリーグという一番大事なタイトルは、もう10年逃し続けているという現実が浦和には重くのし掛かっているのだ。

もちろん、就任時からペトロヴィッチ監督に課せられた、最大のミッションはそのリーグ優勝。しかし、10年のなかでも、5年という多くの時間を与えられながら、その目的は果たされていない・・・

一方で、ペトロヴィッチが去った広島は、森保監督の下で勝負強さを身に着け、3度のリーグ優勝。

これをどう見るか・・・

こうした5年間を過ごした2チームが、今年、6シーズン目を迎えているところだが、何やら、どちらもこれまでのようには行かず、不穏な空気に包まれている・・・

そこで、飛び出した『森保監督の解任』というニュース。

サッカーの戦術には「トレンド」というものがあり、どんなに強かったチームでも、変化に対応できなければ、一気に沈んでしまう。

ペトロヴィッチが持ち込んだスタイルをベースとするこの2チームが

「同時期に苦難を迎えている」

これは単なる偶然ではないのかもしれない。

当然、解任の話は浦和のペトロヴィッチ監督とっても他人事ではないはずだ。

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