南海電鉄の車掌アナウンスで外国人差別?テレビの厳しい論調に疑問も

 今月、南海電鉄の「なんば駅」から、関西空港行きの空港特急車内にて、車掌からあるアナウンスがされたという。

「日本人のお客様にご不便をおかけします。本日は多数の外国人のお客様がご乗車されていますので、しばらくの間、ご辛抱願います」

 これに対し「定められたアナウンスなのか」と問い合わせがあったことから、マスコミに取り上げられる事態に。もちろん、日本語で行われたアナウンスであった為、敏感に反応し疑問を呈したのは日本人客である。

乗客への配慮だったはずが、厳しすぎる世間の目

 このアナウンスを差別のようだと指摘されたとしても、実に丁寧な言葉であることは確か。一部では「外国人」を「外人」と言ったとの証言もあるようだが・・・そもそも「外人」を差別的と感じるかは、年代にもよるし、価値観の違いでしかない。公共のアナウンスでは「適切ではない」が、一般的に差別用語とまでは言えないのではないか?

 普通に、日常では「浅草に行ったら”外人”でいっぱいだったよ~」「最近、近所に”外人”さんが引っ越してきた」といった会話があるだろう。だが、それを差別意識で使っているのかと言われればそうではない。日本の島国という特性で、昔々から「異人」「外人」といった言い方をしてきただけなのである。

 どちらにせよ、今回のアナウンスは「外国人(外人)のお客様が、ご乗車されていますので」と、どちらに対しても丁寧に扱っている。これが「外国人客が乗車されていますので」と、言っていたならば、日本人だけ「お客様」として扱うのかと叱られてもしょうがないが・・・

 本来、この程度のアナウンスミスであれば、指摘されたとしても、鉄道会社が指導なり、マニュアル作りで対応すれば問題のない話で、特段、騒ぎ立てることではない。それをマスコミ(テレビ)がこぞって「差別的」だの「配慮が足りない」など、上っ面だけを見てキャスターや、どこぞのコメンテーターが偉そうに厳しいことを言う。この車掌に、差別意識があったなんて誰も思っていないくせに、小さいミスをこんなにも大ごとにするのかと、逆に怖くなってしまう。

 発端は、元々空港から大きな荷物を持った外国人観光客が多い路線で、この日は乗客から苦情もあったという。荷物で席を占有されたりするため、トラブルを避ける意味で行われたアナウンスだったようだ。

 それを「日本人」「外国人」と分けた言い方をしたのは、適切ではなかったが、現場での咄嗟の判断で、誰も不快にならないアナウンスを考える余裕があったのだろうかと・・・当事者でもない人間が、後から「あーだこーだ」言うことは簡単だろうが・・・

 近年、乗客のモンスター化が問題になる中、現場は神経をすり減らしているとも言われている。これは、鉄道だけではなくサービス業全般に言えることだが、日本のサービスの良さにつけこみ、客の要求が過剰になってきているという問題もある。

 もちろん、公共のアナウンス、接客業としての言葉の使い方は大事だが、あまりにも、世の中の空気的に、神経質になりすぎて「少しの間違いも認めない」という雰囲気になってしまっている。

1610-13-02

人の心の中には少なからず差別の意識はある

 誰だって自分が普段使っている電車に、大きな荷物を持った多くの外国人が乗り込んできて、席を占領したり、大声で話していたら不快に思うだろう。もちろん、外国人ではなく日本人でも、そういったマナー違反はある。しかし、それが外国人であった場合、普段、自分が差別意識などないと思っていたとしても、心の奥底で眠っていた「悪」の感情が出てくることもあるのが人間というもの。

 自分が良く行く「お気に入りの店」が、ある外国人の団体客に占領されていたらどうだろう。

 誰にだって自分のテリトリーだったり、生活圏を守りたいという感情があるのは当然だが、それは普段、人として表に出してはいけないことであり、少なからず、色々な感情を抑えながら生きている。

 例えば、ものすごく親しい友人が、家に泊まりに来たとしても、トイレの使い方だったり、お風呂の入り方だったり、何かしらに「それは、ちょっと」と思うこはあるはずだ。それは、育った環境も違えば、物の使い方ひとつを取っても違いがある。

 だが、そういった感情は、抑えて受け入れるのからこそ、お互いの関係が良好でいられる。それでも、あまりにも常識外れだったり、どうしても受け入れられない場合には文句も言いたくなるだろうし「もう、あいつは家に呼びたくない」といった感情も出てくる。

 それが、大きな意味で、日本人からすれば、日本という国がテリトリーなわけで、普段は差別どころか「外国人には親切にしよう」とか、「日本の良い所をもっと知ってほしい」と思っていても、あるキッカケで、誰しもが持っている「悪」(差別)とも言える感情が、噴き出してくる可能性があるはずなのだ。

 それでも、日本人は「本音と建て前」という言葉があるように、基本的には大人しい。特に欧州などでは、場所によって日本人(アジア人)が露骨な差別を感じることも少なくないし、言葉が分からないだけで、思っている以上の差別を受けていると思ってもいいだろう。

 だからと言って、今回のアナウンスを見逃してはいけないが、必要以上に「事を荒立てる」ような風潮が最近やたらと目に付き、伝える側の質にも疑問を感じる。「私は差別意識などまったくない」かのような顔をして批判をするが、どれだけキャスターや、コメンテーターとやらが真人間なのかと・・・

 こうした、ネット上の広がりに追随したような取り上げ方を、テレビなど大きなメディアがすることには疑問がある。そして、いちいち正論ぶってコメントをしている出演者は、満員電車以上に不快でしかない。

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